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2025年10月 / 最低賃金改定 (北海道)

2025年10月、北海道の最低賃金は2002年以降の「時給方式採用」となってから、

過去最高幅となる1,075円(前年+65円)となりました。(前年比上昇率は約 6.44 % )

10月4日(土)から効力が発生します。

前年、2024年10月の改定では、960円から50円引き上げられ1,010円でした。

※最低賃金は「地域別最低賃金」が基本ですが、特定産業(鉄鋼業・造船業・

自動車製造業・各種製造業・建設業・電子部品産業など)では

「特定(産業別)最低賃金」が適用されるケースもあります。

1. 過去5年間の推移(2019年~2024年あたり)

以下は北海道における直近5年間の最低賃金変化です(年度改定ベース)。

※出典:北海道新聞デジタル https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1197154/

2020年(令和2年)約 902円(全国平均値)※北海道値は据え置きまたは小幅変動

2021年(令和3年)中央付近で +28円(全国平均ベース)

2022年(令和4年)同上        +31円(全国平均)

2023年(令和5年)北海道:960円     前年から +40円  約 4.35 % 程度

2024年(令和6年)北海道:1,010円  前年から +50円  約 5.21 %

(注:2020~2022年については全国平均値を横覧したもの)

近年(2023年、2024年)は、生鮮食品を中心とした強い物価上昇を背景に、

賃金底上げ圧力が高まり、引き上げ幅が過去平均を上回るペースで進んでいます。

消費者物価指数 (2025年4月/北海道)

※出典:北海道 総合政策部 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/000cpi/222167.html

2. 傾向と構造的背景

ー 物価上昇圧と賃金底上げ要請

コロナ禍後および世界的なインフレの影響で、物価高が継続する中、

最低賃金にも上昇圧力がかかっています。特に生活コストの上昇を理由に、

労働団体や地域住民からの賃金底上げ要請が強まりやすくなっています。

地域間格差是正への意向

都道府県間の最低賃金格差を是正したいという意向もあり、

低めの地域では引き上げペースを加速させる傾向があります。

北海道も全国平均水準との差を縮めたいという政策的な重みを持ちうる地域です。

企業コスト負荷とのせめぎ合い

最低賃金上昇は、特に中小企業や零細事業者にとって人件費増を意味するため、

許容できる上げ幅と労使バランスをどう調整するかが常に議論の焦点となります。

引き上げ幅を大きくしすぎると雇用抑制リスクも増加することになります。

全国政策目標との連動性

政府は「2029年までに全国加重平均で時給1,500円」という目標を掲げており、

最低賃金の引き上げをその方向に誘導する政策枠組みが議論されています。

このような国家目標は、都道府県ごとの最低賃金審議に少なからず影響を

与える可能性があります。

3. 今後の見通しと予測

引き上げペースの維持または加速

 2025年改定で65円(約6.4 %)という大幅アップが見られたことを受け、

今後も年間ベースで50~70円程度の改定が続く可能性があります。

仮にこの水準が維持された場合、2026年以降に 1,120~1,150円 程度に

達する可能性も指摘されています。

漸近的な上昇を前提とした“調整期” ー

 一方で、賃金上昇が企業収益を圧迫しすぎないよう、引き上げ幅は徐々に

抑制される可能性もあります。特に全国平均が1,500円を目指す中盤期

(2027~2029年)にかけて、上昇カーブの鈍化が現実化するかもしれません。

地域、業種間でのばらつき拡大

 農業、観光、小売、飲食など低賃金業種では、改定の影響が最も強く出やすく、

賃金調整が追いつかない業種やエリアにおいては、採用抑制やシフト削減、

ロボット・自動化導入が進む可能性があります。

インフレ、賃金スパイラルとの関連性

 物価上昇が続く場合、実質賃金を維持するためにさらに引き上げ圧が強まる

可能性があります。逆に、インフレ抑制政策が強まれば、最低賃金の引き上げ

にも醒めた目線が入る可能性があります。つまり、「無条件に賛成するのではなく、

冷静にコストや副作用も見て判断するようになる」 という意味です。

4. 要点・まとめ

・北海道の最低賃金は、過去5年の傾向と比較してもかなり強めの調整がなされた

・近年、物価高・賃金底上げ圧、政策目標などが複合的に作用している

・今後も年度改定でのアップ傾向は維持される可能性がある

・ただし、引き上げ幅の無制限拡大は雇用調整リスクを招く懸念あり

・適切なバランス設計が不可欠

・採用計画を立てる際は、これらの予測を入れた賃金戦略を早めに設計しておく

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html