CROSS TALK

クロストーク

#02

“遊び心”で共鳴しあう。 ヤマダイとARAMAKIが語る鮭の可能性

YAMADAI GROUP

北国の伝統的な保存食である「新巻鮭」の木箱を利用したものづくりを行うARAMAKI。
ヤマダイグループとは業種こそ違うものの、「鮭」というキーワードで深く繋がっています。
日頃から親交のある代表の二人が、その取り組みと鮭の可能性について語ります。

小林 大作

小林 大作

ヤマダイグループ代表

物流・食品加工・人材サービスなど多角的に展開するヤマダイグループの代表。グループ各社の連携を強化しながら、地域に根ざした事業づくりや、「人」を軸にした組織、挑戦する企業文化の醸成を推進している。

村上 智彦

村上 智彦

宮大工/ARAMAKI代表

ARAMAKIおよびGEN COMPANY代表。大工、二級建築士、一級古民家鑑定士。社寺建築の伝統的な技術と知識、デザインを軸に、大工・建築家・デザイナーという立場を行き来しながら幅広く活動している。
https://aramaki.world/
https://www.instagram.com/aramaki.shake

ビジネスパートナーではなく、友達。鮭が引き寄せた二人の縁

二人の出会いのきっかけを教えてください。

村上 智彦

函館の蔦屋書店でお正月イベントのデコレーションをARAMAKIが依頼されたことがあって。その時に「近くに山大という水産加工会社があるから、鮭や海産品を一緒に売るのはどうか」と蔦屋書店の人に提案されたのがきっかけですね。

小林 大作

そうそう、2019年頃だったかな。鮭とばがすごく売れたんです。

村上 智彦

その後に実際に見に行きますということで、この工房に遊びに来てくれましたよね。

小林 大作

仕事とかではなく、単純に鮭箱(新巻鮭の木箱)を使った取り組みが面白いと思ったんです。それからはお互い何かあれば会いに行くようになって、今では本当にただの友達ですね。一緒に鮭ラーメンを食べに行ったり。

村上 智彦

年齢も近いですしね。当時はまだ小林さんも社長じゃなかったし、そんな大きな会社の人だと思っていなくて(笑)。ARAMAKIのメンバーになってくれそうだな、くらいに思っていました。

お互いの第一印象はどうでしたか?

小林 大作

最初はウェブで作品を見たんです。僕自身がギターをやっていることもあって、鮭箱のギターには衝撃を受けましたね。それで実際本人と会ったら、癖の強い作品と人間性がぴったり重なったんです。ストレート感というか。

村上 智彦

喜んでいいのか悪いのかわからない(笑)

小林 大作

いいじゃないですかアーティストとして。この人だからこの作品が出来上がっているんだって答え合わせができたんです。

村上 智彦

小林社長は最初「子どもみたいな人だな」って思いました。うちの次男とすごく盛り上がっていたから。

小林 大作

夜遅くまでカードゲームやったりね(笑)。僕は村上さんが過去に講演で話していた「作りたくないものは作らない。それをやると子どもの頃の自分が悲しむ」という言葉に感銘を受けたんです。そういう子ども心や遊び心は共通しているのかもしれないですね。

激減する鮭。その向き合い方と、函館での展示の開催

近年、鮭が激減しているんですよね?

小林 大作

そうなんですよ。以前環境保護活動をしている人から取材を受けたことがあるんです。「なんで鮭の獲れないこの時代に鮭の山漬けを作っているんですか」みたいな。

村上 智彦

なんでなんですか?

小林 大作

そもそも、最初に自分たちのブランドを作るにあたって核になるものを考えて、魚の中でも特殊で歴史的背景やストーリーもあって面白いということで鮭を選んだんです。だから「激減してるのになんでやってるのか」というよりも「やってたら激減しちゃった」なんですよね。でも別にゼロではないし、ここまで来たら通さなきゃいけないなと。会社としては水産物にこだわらないでやろうかっていう風に変化はしてきているんですけど、やっぱり一番に来るのは鮭かな。

鮭箱にも影響はありますか?

村上 智彦

僕は箱業界の会合にも呼ばれているから、内部事情がわかっていて。業者自体も減っているし、鮭も獲れないから箱を作らなくなってきている。鮭箱を今一番使っているのは僕だったりするんですよ。

小林 大作

最近はダンボールや発泡スチロールに代替されてきて、ほとんど使われなくなっていますよね。たまに仕入れた鮭が木箱で来ると「木箱かあ」という感じで。廃棄が大変なんです。

村上 智彦

一回一回釘を抜いて完全にバラさなきゃいけないので手間がかかりますよね。

小林 大作

今は溜まったら村上さんに連絡できるので助かっています(笑)

村上 智彦

箱を作る材料も値上げしているから、どんどんなくなっていくと思います。ただ、たとえ鮭箱がなくなっても、鮭箱という文化的な背景はなくならないので、それをアーカイブし続けるのが今ARAMAKIにできることかなと。

お二人ともあまり悲観してはいないんですね。

小林 大作

鮭の水揚げ量が減っているのは知っていて、目の当たりにしているけれど、すぐに解決する問題でもないじゃないですか。世の中、色々なものが淘汰されてきて、それでも人はこうして生きているわけだし。

村上 智彦

ARAMAKIも、僕らがもっと鮭箱を木箱屋さんに発注したら、衰退していく業界を変えられるんじゃないかと思ったことがあるんです。でも実際はそう簡単じゃなかった。むしろ何かを変えられると思っていたことが恥ずかしくなって、それからはちょっと考え方が変わりましたね。鮭についても同じだと思うんですけど。

小林 大作

うんうん。

村上 智彦

ただ悲観していてもしょうがないですよね。何かがなくなっていくなら新しい文化を作っていけばいい。やっぱり大切なのは遊び心だと思います。新しい発想とかアイディアとかって、余裕がないと生まれないじゃないですか。

そんな中、2025年に函館で展示を開催したんですよね。

村上 智彦

元々「鮭サミット」というものを自分たちでやっていて、羅臼町でやった時に小林社長も来てくれたんです。

小林 大作

そう。それで函館でもこういうのをやりたいってポツリと言っていたんですよね。

村上 智彦

ずっとどんな風にやればいいのか悩んでいたんですけど、最終的には協賛という形でヤマダイさんに協力してもらって展示をやることになりました。

小林 大作

その中では鮭の研究をしている卜部浩一さんという方のトークもあったんですが、そういう人たちが集まることで、鮭が減っている問題の解決に繋がっていくかもしれませんよね。自分たちに何かができるわけではないけど、そういう場所や繋がりをつくる手助けはできるんじゃないかなと。

ヤマダイグループ×ARAMAKIの今後と、変わらない遊び心

函館という土地に対する思いはありますか?

村上 智彦

ここ(恵庭)じゃないとしたら、函館に住みたいです。

小林 大作

おお、意外だ(笑)。

村上 智彦

展示が終わってから、やっぱり函館良かったなって。ARAMAKIの活動としても、港町のほうが可能性の広がりを感じますし。今すぐにパッと行けるわけではないけど、今後の展開を考えた時にはやっぱりもうちょっと海に近い方がいいですね。

小林 大作

僕も函館は好きです。北海道の中でもイケてる街だなと思いますね。「この街を盛り上げよう!」という感じではないですが、ヤマダイグループが盛り上がることで副次的に街が良くなったり、人が増えたらいいなと思います。

今後、一緒にお仕事をする計画はあるのでしょうか?

村上 智彦

今の所ないですね。あえてそういうビジネスライクな方向には持っていきたくないところもあって。

小林 大作

いつもそうだもんね。何かの話をしようって会っても、結局雑談しかしないで何も決まらないまま帰るみたいな。今日もほとんど雑談しかしてなかったですね。

村上 智彦

ただ、やるとしたら意外と納豆かもなと思っていますよ。新巻鮭味納豆とか。

小林 大作

そしたらもうパッケージはARAMAKIの模様ですね。よさそう!

お二人からは、遊び心を大事にしていることを強く感じます。

小林 大作

遊び心は絶対に大事ですね。ただ「遊び」っていう言葉がついているからといって、仕事と分けて考えなくていい。楽しくやるかどうか、自分の感性を大事にして仕事をするかどうかっていうことだと思います。

村上 智彦

真面目にふざけるっていうことですね。それも結構大変なんです(笑)。

まとめ

業種を飛び越えた二人の会話には、終始楽しそうな空気が流れていました。共通していたのは、たとえ厳しい現実があっても悲観せず、常に遊び心を忘れない姿勢。これからも、その遊び心こそが周りの人たちを巻き込んでいき、明るい未来を作っていくのだと確信せずにはいられません。

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